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法律コラム

current column in the law

今夏、朝日新聞デジタルで『「熟年離婚」の割合が過去最高に 長寿社会、役職定年も背景に』といった記事が掲載され、少し話題になりました。


リンクは下記参照(朝日新聞デジタル、8月13日、参照2024年8月16日)

※リンク切れにご注意ください。


1.熟年夫婦をめぐる「離婚」の実態

近年、離婚件数全体は減少傾向にある一方で、同居期間が20年以上の「熟年離婚」の割合が増加していることが注目されています。同記事によれば、2022年には、離婚した夫婦のうち、その割合は23.5%に達し、過去最高を記録したようです。

この背景には、高齢化に伴う「夫婦の老後」の長期化があり、長い結婚生活の中で夫婦の関係性が変化し、離婚を選択するケースが増えていると考えられます。


2.熟年離婚増加の理由・背景

同記事によれば、熟年離婚が増加している主な理由として、戦後の平均寿命が大幅に延びたことが挙げられます。1950年代の男性の平均寿命は約58歳でしたが、現代では81歳にまで伸びています。

これにより、子どもが独立した後に、定年退職後の夫婦が共に過ごす時間が長くなることで、性格の不一致や価値観の違いが顕著になり、離婚に至るケースが増えているのではないでしょうか。


また、同記事によれば、役職定年や定年退職が引き金となる熟年離婚も増加しています。夫が定年退職を迎えると、夫婦の生活リズムや役割分担に変化が生じ、それが原因で夫婦間に亀裂が生じることがあります。特に役職定年などで収入が大幅に減少することで、経済的な問題が離婚のきっかけになることも少なくないのでしょう。


3.熟年離婚に特有の問題

熟年離婚は感情面や金銭面など多様な要因が絡み合って生じるため、その対応には専門的な知識と経験が求められます。熟年離婚では、長年にわたって築いてきた財産の分割や、将来の生活設計に関わる年金分割など、通常の離婚に比べて複雑な問題が多く発生します。特に、財産分与や年金分割に関しては、法的な解釈や手続きが必要となり、専門家の助言が欠かせません。


また、感情的な面でも、長年連れ添ったパートナーとの別れは心身に大きな影響を与えることがあります。離婚に伴うストレスや不安を軽減するためにも、交渉の窓口となる弁護士の存在はますます重要になってきます。


さらに、熟年離婚では、離婚後の生活設計が非常に重要です。特に女性の場合、長年専業主婦として家庭を支えてきた方が離婚後に直面する経済的な不安は大きなものとなるでしょう。

財産分与や年金分割といった制度の活用により、離婚後の生活を安定させていくことが期待できます。


まとめ

熟年離婚を考えている方や、すでに手続きが進んでいる方からの相談はますます増えています。

複雑な法律問題を整理し、クライアントの権利を守るためには、専門的な知識と経験が不可欠です。離婚に関する法的な疑問や不安を抱えている方は、ぜひ一度、当事務所に相談してみてください。より良い将来の生活へ一歩を踏み出すために適切なアドバイスをすべく、我々は日々研鑽を積んでいきます。


また、令和6年改正民法で、共同親権や離婚後300日問題等を中心に、離婚実務に大きな影響を及ぼすと考えられる法改正がなされました。

これらの点についても折に触れて解説記事を執筆していく予定です。

〔弁護士 馬場大祐〕

交通事故に遭った兼業主婦の方々には、特有の問題があります。その中でも「休業損害」は大きなポイントです。兼業主婦で実収入が女性の全学歴全年齢賃金センサスより低い場合には、主婦としての休業損害請求が可能です。これについて詳しく説明します。


1 主婦休損という補償の仕組みとは


兼業主婦とは、家事を行いつつ勤め仕事をしている女性を指します。交通事故によって後遺障害が残った場合、その影響は家事と仕事の両方に及びます。このような場合、休業損害を請求する際には、主婦としての家事労働の価値も考慮されます。具体的には、兼業主婦が交通事故により家事を十分に行えなくなった場合、その損失分を補償するために「主婦休損」として請求できます。特に、実収入が女性の全学歴全年齢賃金センサスより低い場合、主婦休損の請求が認められやすくなります。


2 フルタイム勤務で主婦休損が認められるかどうか


フルタイムで働く兼業主婦が交通事故でケガを負った場合、仕事に影響が出るため、通常の休業損害が発生します。他方、家事労働の面でも損失が生じます。

裁判での争いになった際に、フルタイム勤務というだけで主婦休損が否定されることはほとんどなく、基本的には実収入が賃金センサスよりも高いか低いかで判断することになります。


3 家事従事者の休業損害の相場観


家事従事者の休業損害は、厳密な証明が必要ない一方で、評価の仕方に幅があります。東京地方裁判所では、むち打ちのような軽度のケースでは20~50万円、等級14級のような後遺障害が残る場合では40~80万円程度が多いとされているようです。


算定方法としては、まず女性の平均賃金を365日で割って日額を算出します。そして、①実際に通院した日数に上記日額を掛ける方法、②最初の30日間は100%、次の30日間は50%として徐々に減らして計算する方法、③通院期間全体で平均した掛け率を掛ける方法があります。裁判では、②の方法がよく使われているようです。


まとめ


兼業主婦が交通事故で後遺障害を負った場合、仕事と家事の両面での損害を適切に補償するために、主婦休損の請求が重要です。実収入が低い場合には、家事労働の価値を評価することで、適正な補償を受けることができます。

休業損害の請求について不安や疑問がある場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

〔弁護士 馬場大祐〕

離婚に際して、財産分与は重要な手続きです。財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を公平に分けることを指します。ここでは、財産分与の請求方法、評価基準時、そして割合について詳しく説明します。


1 財産分与の請求方法


財産分与の請求は、離婚手続きと並行して行うことが一般的ですが、離婚後も財産分与の調停や審判を申し立てることが可能です。財産分与の請求をするためには、まず、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停では、夫婦双方の話し合いにより財産分与の内容を決定しますが、話し合いがまとまらない場合は、裁判所が審判で決定します。注意すべきは、財産分与の請求には「除斥期間」があることです。離婚後2年以内に請求しないと、財産分与の権利が消滅しますので、速やかに対応することが重要です。


2 財産分与の評価基準時


財産分与の対象となる財産は、婚姻期間中に夫婦が共同で築いた財産です。この財産の評価基準時は、「別居時」と「離婚時」のどちらかが一般的に採用されます。別居時とは、夫婦が実質的に家庭を維持しなくなった時点での財産の状況を指し、離婚時とは、法律上の離婚が成立した時点での財産の状況を指します。どちらの基準時を採用するかは、具体的な事情により異なるため、個別のケースに応じた判断が求められます。


3 財産分与の割合


財産分与の割合は、夫婦の寄与度に基づいて決定されます。一般的には、夫婦が共同で築いた財産は、基本的に2分の1ずつ分けることが原則です。例えば、一方が専業主婦(夫)として家庭を支えた場合でも、その労働価値は経済的な貢献と同等と見なされるため、2分の1の割合が適用されることが多いです。しかし、個別の事情により、夫婦のどちらかが特に多くの貢献をしたと認められる場合には、分与の割合が調整されることもあります。


まとめ


離婚に伴う財産分与は、夫婦の経済的自立を助ける重要な手続きです。請求方法としては、家庭裁判所への調停や審判の申し立てがあり、評価基準時は別居時か離婚時の財産状況を基にします。また、分与の割合は基本的に2分の1ですが、個別の事情により調整されることもあります。


財産分与の請求は離婚後でも可能ですが、除斥期間の2年以内に行う必要があります。これらの手続きについてお困りの場合や疑問がある場合は、専門の弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、あなたの権利を守り、公平な財産分与を実現するためのサポートを提供します。どうぞお気軽にご相談ください。

〔弁護士 馬場大祐〕

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