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法律コラム

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遺言書は、遺産相続を円滑に進めるために非常に重要な役割を果たします。遺言書を適切に作成しておくことで、相続人間のトラブルを防ぎ、故人の意思を確実に伝えることができます。ここでは、遺言書の作成方法について、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3つの種類に分けて説明し、相続発生時に行うべきことも併せて解説します。

1 自筆証書遺言・公正証書遺言とは


自筆証書遺言


自筆証書遺言は、遺言者が自身で全文を手書きして作成する遺言です。メリットは、簡単に作成でき、費用がかからない点です。しかし、形式不備や紛失のリスクがあるため、注意が必要です。なお、2020年の法改正により、自筆証書遺言は法務局での保管が可能になり、紛失や偽造のリスクが軽減されました。


公正証書遺言


公正証書遺言は、公証人が作成する遺言です。公証役場で遺言者の意思を確認し、公証人が記録します。メリットは、法律の専門家である公証人が関与するため、形式不備のおそれがなく、紛失や偽造のリスクも少ない点です。デメリットは、作成費用がかかることです。また、公証役場に出向く手間もあります。


2 秘密証書遺言とは


秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしておくことができる遺言です。遺言者が自分で書いた遺言書を封印し、公証人と証人の前で封印状態を確認してもらいます。メリットは、内容を誰にも知られずに遺言を残せる点です。デメリットは、形式不備があった場合に無効になる可能性があることと、保管場所に注意が必要な点です。また、内容が確認できないため、紛失や破損のリスクもあります。


3 相続発生時とその後の手続き


遺言がある場合、相続発生時に行うべきことは次の通りです。まず、遺言書の存在を確認します。自筆証書遺言の場合は家庭裁判所で検認を受ける必要があります。これは、遺言の内容を確認し、偽造や変造を防ぐための手続きです。公正証書遺言の場合は、検認手続きが不要であり、速やかに相続手続きに入ることができます。秘密証書遺言の場合も検認が必要です。


遺言書が見つかったら、内容に従って遺産分割を進めます。遺言執行者が指定されている場合は、その指示に従い手続きを行います。遺言執行者がいない場合は、相続人全員で協議しながら遺産分割を進めます。


遺言書の作成は、将来の相続トラブルを防ぐために非常に重要です。適切な形式で遺言を残すことで、故人の意思を確実に伝えることができます。遺言書作成や相続手続きに関する疑問や不安がある場合は、専門の弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、遺言書の作成から相続手続きまで、総合的にサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

〔弁護士 馬場大祐〕

 交通事故に遭った後、治療を続けていく中で「症状固定」という言葉を耳にすることがあります。症状固定後には「後遺障害等級認定」という重要な手続きが待っています。これにより、自賠責保険金額や慰謝料、労働能力喪失率が決まりますので、その手続きについて詳しく説明します。


1 症状固定と後遺障害の関連性


 まず、「症状固定」とは、治療を続けても症状がこれ以上改善しないと医師が判断した状態を指します。この時点で、事故によるケガが治りきらず、後遺症が残っている場合があります。この後遺症を「後遺障害」といい、日常生活や仕事に支障をきたす場合があります。後遺障害が認められると、その重度に応じて等級が決定されます。


2 後遺障害の等級認定の仕組み


 後遺障害の等級認定は、後遺症の重度や影響を評価する手続きです。等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど重度の障害を示します。等級により、自賠責保険金額や慰謝料、労働能力喪失率が決まります。例えば、1級の場合、介護を要する重度の後遺障害であり、保険金額や慰謝料も高額になります。一方、14級は軽度の後遺障害となり、支払われる金額も相応に低くなります。


3 等級認定の手続き


 等級認定の手続きを進めるためには、まず主治医の診断書や後遺障害診断書を準備します。これらの書類を元に、保険会社や損害保険料率算出機構が審査を行います。審査では、後遺障害の存在やその程度、日常生活や仕事への影響を総合的に判断します。審査結果として等級が決定され、その等級に応じた保険金や慰謝料が支払われます。


4 等級認定に対する異議申立て


 等級認定の結果に納得できない場合、異議申立てをすることができます。異議申立ては、新たな医療証拠や意見書を提出して再審査を求める手続きです。具体的には、専門医の意見書や追加の診断結果などを揃えて、再審査を申請します。この手続きには時間がかかることもありますが、納得のいく結果を得るためには重要なステップです。


後遺障害等級認定は、交通事故被害者にとって非常に重要な手続きです。適正な等級認定を受けることで、適切な補償を得ることができます。等級認定手続きや異議申立てについてお困りの場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

〔弁護士 馬場大祐〕

離婚後に親権を得て、子どもを育てる親にとって、養育費は非常に重要な問題です。養育費は、子どもの生活を支えるための資金であり、適切な額を確保することが求められます。ここでは、養育費とは何か、そしてその支払いを確保する方法について詳しく説明します。


1 養育費とは


養育費とは、離婚した夫婦の一方が、子どもの生活費や教育費を支払う義務を負った場合の金銭のことを指します。養育費の額は、夫婦間の協議によって決められることが多いですが、合意が得られない場合には家庭裁判所が算定します。養育費の算定基準には、夫婦双方の収入、子どもの年齢や人数、生活状況などが考慮されます。一般的に、監護親と非監護親の収入比較に基づいて算定されるため、非監護親の収入が高いほど養育費も高額になる傾向があります。


2 支払確保の具体的な方法


養育費の支払いを確実にするためには、いくつかの方法があります。そのひとつに、非監護親との協議により養育費の額を決め、公正証書を作成することが有効です。公正証書には、養育費の支払いが停止された場合に強制執行が可能である旨を明記します。これにより、支払いが止められた場合でも、強制執行により養育費を取り立てることができます。


また、支払いが止められた場合、家庭裁判所に履行勧告や履行命令を申し立てることも有効です。履行勧告とは、家庭裁判所が支払義務者に対して養育費の支払いを促す手続きです。履行命令は、支払義務者が養育費を支払わない場合に、裁判所が強制的に支払いを命じるものです。これらの手続きを利用することで、養育費の支払いを確保することができます。


まとめ


養育費は、子どもの健全な成長を支えるために欠かせないものです。非監護親との協議や公正証書の作成、家庭裁判所での手続きを利用して、適正な額の養育費を確保しましょう。支払いが停止された場合でも、適切な手続きを踏むことで、養育費の取り立てが可能です。養育費に関する問題や疑問がある場合は、弁護士に相談することをお勧めします。


〔弁護士 馬場大祐〕

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