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【離婚・男女問題】「パパ活だから不貞ではない」は通用するのか ― 不貞慰謝料請求との関係


私が過去に受けた不貞慰謝料の案件で、慰謝料を請求した相手方から、「パパ活なので慰謝料は支払わなくてよいはずだ」という反論がなされたことがあります。このような主張がなされる背景には、当事者間の関係を恋愛とは異なるものとして理解しているという事情があるのかもしれません。しかし、仮に当事者間に性的関係が存在した場合、このような主張は、法律上は説得力を持たないことが多いと考えられます。

 


不貞行為の成立要件と「パパ活の抗弁」の関係性


不貞行為に基づく慰謝料請求が認められるためには、一般的に次のような要件を満たす必要があります。なお、法的な要件としてはもう少し整理が必要ですが、本稿では一般の方に向けた分かりやすさの観点から述べています。


  1. 相手方(配偶者)に婚姻関係が存在すること

  2. 自由意思に基づいて性的関係を持ったこと

  3. 違法性が阻却される特段の事情がないこと(たとえば、強迫等による例外的事情)

 

「パパ活だから慰謝料は不要である」という主張について、それを述べる当事者から法的な位置づけを明確に説明していただくことは多くないのですが、要するに、恋愛ではなく金銭授受が目的の業務的な行為なので、違法性を欠くという趣旨に解釈できるのではないかと思います。

ただし、この主張をする際に注意しなければならないのは、法的な意味合いとして、相手方は自由意思で性的関係を持った事実自体は自白した上で、その正当性を主張しているに過ぎない点です。

つまり、パパ活だからという抗弁は、不貞行為を全面的に否定するものではなく、既に不貞行為を認めた上で、違法性がない(損害賠償責任を負わない)と主張するにとどまります。

不貞慰謝料を請求する側が証拠を持っていない場合でも、請求された側が自ら不貞の事実を認めれば、その事実が前提となって交渉や裁判が進んでいくことになります。そのため、後から不貞はなかったと主張しても、説得力を失ってしまう可能性が高いといえます。

このように、一度パパ活で肉体関係があったと認めてしまうと、不貞行為の事実は確定し、あとは正当化する特段の事情があるなどと主張するしかなくなります。

もっとも、パパ活の抗弁とは別に、たとえば「パパが既婚者であることを全く知らなかった」「パパとは食事をしただけで性的関係はない」といった反論もあり得ますが、これらは本稿のテーマからは少し外れるため、今回は触れません。



パパ活はリターンに比べてリスクが高い


近年、「パパ活」いう男女関係の形は、インターネットやマッチングアプリの普及により広く知られるようになりました。SNSや動画サイトなどでも関連する情報が数多く発信されており、若い世代を中心に、その言葉自体は以前よりも身近なものとして認識されるようになってきました。

しかし、実際には手軽に見える報酬の裏に、非常に深刻なリスクが潜んでいます。

手軽に収入を得られる活動として紹介されることもありますが、実際には思わぬ法的リスクを伴う場合があります。

インターネット上ではリスクが十分に説明されないまま手軽さのみが語られるケースもあり、注意が必要です。

 


法的責任を軽視しないことが大切


法律上、不貞慰謝料請求は「損害賠償請求権」という正当な権利行使の一つです。請求された側がこれを免れるためには、明確な反証や、違法性を否定するに足る特段の事情が必要になります。

金銭のやりとりがあっただけだから、恋愛ではなかったから、などという抽象的な説明は、訴訟上の抗弁としてはほとんど通用しません。むしろ、金銭の授受が明白であるほど、反倫理性が強調される危険もあるかもしれません。

不貞慰謝料の金額は、一般的には数十万円から数百万円に及び、ケースによってはさらに高額となることもあります。簡単に手を出せるから、簡単に何とかなるだろうと考えてしまうのは非常に危険です。



おわりに


「パパ活だから慰謝料は不要」という抗弁は、要件事実上も法律上も正当化し難い主張であり、裁判所に認められる可能性は極めて低いといえます。金銭の授受によって責任が軽減されることも、ほとんど期待できません。

もし不貞慰謝料の請求を受けた場合や、リスクを避けたいと考えている場合は、できるだけ早い段階で法律の専門家に相談されることをおすすめします。

手軽に稼げると思われがちなパパ活は、法的にも社会的にも多大なリスクを伴う行為であることを、ぜひ知っておいていただければ幸いです。


〔弁護士 馬場大祐〕


 
 

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