中小企業における法務リスクと顧問弁護士の活用法
- わたらせ法律事務所

- 9月16日
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群馬県桐生市やみどり市周辺で中小企業を営む経営者の皆さまにとって、日々の経営判断はまさに時間との戦いです。売上拡大や人材確保、資金繰りといった経営課題に追われるなか、つい後回しになりがちなのが「法務リスク」への対応です。しかしながら、法的なトラブルはある日突然、思わぬ形で顕在化し、経営に重大な打撃を与えることがあります。こうしたリスクを未然に防ぐうえで有効な手段の一つが、顧問弁護士の存在です。
本稿では、桐生市・みどり市周辺エリアの中小企業を念頭に置きながら、中小企業が直面しやすい法務リスクの実情と、顧問弁護士をどのように活用すべきかについて、実務の視点からわかりやすく解説いたします。
法務リスクは「思わぬところ」に潜んでいる
中小企業において法的なトラブルが発生する場面は、決して特別な出来事ではありません。たとえば、取引先との契約書をよく確認せずに進めてしまい、後日、支払いのトラブルに発展した。あるいは、従業員との労務問題がこじれて労働審判や訴訟に至った。さらに、社内でのパワハラ・セクハラをめぐる通報が突然入り、対応に窮する……こうした事例は実際に数多く見られます。
特に桐生市・みどり市のように地域密着型のビジネスを展開する中小企業では、取引先や従業員との関係が人的な信頼に基づいて築かれていることも多く、法的な整備を軽視してしまう傾向があります。「うちは昔からの付き合いだから大丈夫」「社員は家族みたいなものだからトラブルにはならない」という認識は、結果的にリスクの見落としにつながるおそれがあります。
法務リスクは、企業の規模にかかわらず存在します。そして、リスクが顕在化した後に対処するには、費用的にも精神的にも大きな負担が伴います。したがって、「何も起こっていない今」こそが、法的備えを進めるべきタイミングなのです。
顧問弁護士の役割と実務的メリット
こうした背景から活用を検討いただきたいのが「顧問弁護士」です。顧問弁護士とは、企業の継続的な法律相談を受け持つ弁護士のことで、医療機関で言えば「かかりつけ医」のような存在といえます。
顧問契約を結んでおくことで、法的トラブルが起きた際にすぐ対応してもらえるだけでなく、そもそも問題が起こる前に、契約書のリーガルチェックや社内規程の整備、就業規則の見直し、SNS炎上対策といった「予防法務」に注力することができます。
また、顧問弁護士がいることで、経営判断における法的視点の助言が得られる点も大きな強みです。たとえば、新規事業の展開にあたって法規制の確認を要する場合や、取引先との取引条件の見直しを進める場面など、経営の節目で適切な助言を得ることができるのです。
さらに、顧問契約により相談のハードルが下がることも、実務上の大きな利点です。「ちょっと聞いておきたい」「この書類、念のため確認してもらいたい」といった小さな相談でも、弁護士と定期的に連絡が取れる関係ができていれば、気軽に法的チェックを受けることが可能になります。これは、トラブルの早期発見と拡大防止に直結します。
顧問弁護士の存在が企業の信頼性を高める
顧問弁護士を置くことには、法的リスクの管理や助言という実務的なメリットだけでなく、対外的な「信用力の向上」という重要な側面もあります。
たとえば、取引先との契約締結時に、「顧問弁護士による確認を経て契約します」と一言添えるだけでも、契約内容に対する企業としての慎重な姿勢が伝わり、相手方に安心感を与える効果があります。また、従業員に対しても、法的な整備をきちんと行っている会社であるという信頼感につながり、働く環境の透明性が高まります。
さらに、採用活動や広報の観点からも、法務体制が整っている企業は「しっかりしている会社」という印象を与えることができ、優秀な人材の確保にも良い影響を与える可能性があります。法的なトラブルへの備えが結果として企業のブランド価値を高めるというのは、意外に見落とされがちですが、近年ではとても重要なポイントです。
地元密着型の弁護士だからこそできること
顧問弁護士を選ぶ際には、地域事情に明るく、企業の業種や業態に応じたアドバイスができる弁護士を選ぶことが重要です。桐生市・みどり市を拠点とする企業であれば、やはりこの地域に根ざした法律事務所を選ぶことが、的確でスピーディーな対応につながります。
たとえば、地元の取引先や行政との関係、地域特有の商習慣を把握している弁護士であれば、表面的な法解釈だけでなく、実情に即した現実的なアドバイスが可能です。また、地元での交渉事や信頼関係を重視する場面では、顔の見える関係の中で調整を行うことが円滑な解決に結びつくこともあります。
当事務所でも、桐生市・みどり市周辺エリアに拠点を置く中小企業様からの、契約書の整備や労務問題、クレーム対応、債権回収といった幅広い業務に随時受け付けております。地域の皆さまとの信頼関係を何よりも大切にしながら、それぞれの企業にとって最善の法的サポートを提供することを理念としております。
最後に:経営の安心は、法務の整備から
中小企業経営における法務リスクは、決して他人事ではありません。そして、トラブルの芽は小さいうちに摘むことが、経営の安定にとって何よりも重要です。そのためには、法務の専門家である弁護士と早期に連携し、継続的なサポート体制を築いておくことが望まれます。
「何かあったときに相談する弁護士」ではなく、「何も起こらないように先回りして動く弁護士」を身近なパートナーとして活用することが、これからの企業経営には欠かせません。
桐生市・みどり市周辺で顧問弁護士をご検討の方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。皆さまの事業が、地域とともに末永く発展されるよう、法律の面から全力でサポートいたします。
〔弁護士 馬場大祐〕